インボイス制度導入でどうなる? 税務調査の方針と留意すべきポイント
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2023年9月、「次世代への支援」活動の一環として家業後継者や若手経営者を対象に「オランダスタディツアー」を開催しました。
今回参加した5人のうち、モリタ株式会社 代表取締役社長・箱プランナーの近藤篤祐さんと早川しょうゆみそ株式会社 取締役専務の早川薫さんに、「オランダスタディツアー」で得られたもの、事業に反映した視点などを話していただきました。
オランダの生活を 見聞きして得た感覚と
意見交換した情報が 今後の事業に必ず生きてくる
近藤 ツアーに出る前に初顔合わせをした帰りの電車の中で、早川さんに「そんな考えでオランダに行ってもダメですよ」って言われたんですよ。覚えていますか?
早川 せっかくオランダに行くなら、ツアー後の自分自身や会社のあるべき姿を思い描いてから行かないと、時間を無駄にしてしまうのではないかと思い、「初めてのオランダは一生に一回ですよ」ってつい言ってしまいました。
近藤 早川さんは、留学経験があり、既に欧州で事業展開もしていて、最初から視点が違っていましたね。発言が具体的だったからすごく勉強になりました。
早川 何の情報をつかみに行くかという明確な目標をもたないともったいないと思ったんです。
近藤 今回のメンバーは、私以外の4人が30代と若く、積極的な人ばかり。私だって負けてはいないと思っていましたが、やはりだんだん保守的になってきて、先に答えを勝手に出してしまっていたかもしれないと思いました。
早川 近藤さんが、自社製品を熱く語る姿を見て職人だなと感じました。ある意味信頼できるんだけど、ターゲットが欧州のどの層にいるかを考えないとこれからの展開は難しいのかなと思って、つい口にしてしまいました。
近藤 自分の考えを言葉にする大切さを改めて認識しました。特に海外でビジネスするときには、自社製品の強みをいつでも言えるようにしておくことなどは、大事なことだね。
早川 ツアー中、早朝から深夜まで一緒に店をマーケティングしたり、忌憚なく話し合えたこの5人の仲間の信頼感とつながりはすごいです。
近藤 私にとっては同世代と話す時に比べ、数倍も刺激が得られました。なかなか普通では得られない、幸運で最高な環境をこのツアーにいただきました。
近藤 私は4年前から家業イノベーション・ラボ(※1)に参加していて、Facebookを見てツアーに応募したんだけど、早川さんは?
早川 ちょうどドイツの展示会に出展する予定があって、その前月にこういうオランダツアーがあると、やはりFacebookで知って応募しました。まだ行ったことのなかったオランダですが、欧州で事業展開するときのゲートウェイだと聞いていましたから。
近藤 私は仕事をするなかで、付加価値というキーワードを大切にしてきたのですが、オランダは合理性と付加価値を高めるのが上手い国だというイメージがありました。実際に行ってみて、やはりそうだと思うことが多かったです。
早川 「MONO JAPAN」には、日本が大好きな欧州の方々が来ていましたね。自分がこれまで想定していた欧州マーケットの二極化の確認ができた意味で良い経験でした。
近藤 デザイン領域で勉強になると思ったのはもちろん、「MONO JAPAN」で展示即売をさせてもらえることになったのも魅力でした。自社製品に興味をもってくれた現地の人と対面で接し、さまざまな反応を直接得られたのは、今後の事業展開への大きな収穫になりました。
早川 僕は、現地のNNグループの方に自社製品を説明し、議論した場で、今まで考えなかったアプローチ法を聞けたり、ビーガンフードとしてのみそ市場の可能性を聞けたのが有意義でした。
近藤 その時に「目的でなく手段だ」という発言があったでしょう。デザインが目的なのではなく、何かを達成するためにデザインを活用するという当たり前の言葉なんだけど、すごく印象的でしたね。
早川 今まで現地商談や展示会のためだけに海外に出ていたのですが、今回は美術館やさまざまな施設に行くことができたのもすごくよかったです。
近藤 特に「テキスタイルミュージアム」は、単に伝統工芸を見せるだけではなく、今と未来をストーリー仕立てで見せてくれるのは、目からウロコの体験でした。モリタの経営計画にも早速取り入れて、工場を公開しコミュニケーションの場となるオープンファクトリーを目指そうと考えています。
早川 古いものを現代的に見せることで、未来はどうしますかと問いかけてくる展示は、ありだなと感じました。あれこそ欧州のデザイン思考の強さですね。貴重な体験と時間でした。
早川 大手スーパーや老舗デパートなどに行き市場調査できたのもすごくよかったです、なかでもデ・ハーレンには、何度も足を運びました。
近藤 昼にみんなで見学して、その夜またみんなでご飯を食べに行って、あの広い中を歩き回りましたよね。
早川 僕は翌朝、本間さんと二人でまた行ったんです。フードコートでどんな朝食をたべるのかとか、この目で見たいじゃないですか。朝と昼と夜にいる人の顔って全然違うし。今後に向けた良いマーケティングになりました。
近藤 私は、自由行動の時に市内の文具雑貨店と紙の専門店に行きました。意外と日本製品が多くて、日本のデザイン文具が受け入れられていたのに驚きました。そして、帰国後もご縁があり、オンラインでオランダのデザイナーさんたちと意見交換しています。製品に興味をもってくれたので、Vカットボックス加工(※2)の良さをどう伝えるかを試行錯誤中です。
早川 早川しょうゆみそとしても、新しいパッケージのデザインを近藤さんと話し合わせてもらっています。
近藤 ありがたいことです。今回の数々のインプットは今後数年かけて生かしていきたいですね。
早川 目標を明確にもって行ったからこそ、得られたんだとおもいますよ。
近藤 早川さんは、ツアー前に下調べのために現地の人にアンケートを取ったと聞きました。
早川 オランダに住んでいる人やジェトロの方に協力していただきました。でもその場での肌感覚を知るほうが大切です。そのために英語で質問できるように準備しておくといいですね。相手の言葉が聞き取れなくても、録音しておいてあとで聞いたり、翻訳したりすると意外と人を介さないからこそ気が付くことがあるんです。
近藤 海外進出に向けて、まだまだやることが多そうですが、おかげさまで一歩を踏み出せました。
モリタ株式会社 代表取締役社長・箱プランナー 近藤 篤祐さん
札幌の紙器(紙箱)製造会社の五代目。大学卒業後、専門商社で13年間営業職を経験後、義父が経営するモリタに入社。デザインの必要性を感じ専門学校でグラフィックデザインを学ぶ。Vカットボックス加工など特殊な技術と洗練されたデザインで知られる独自の紙箱には、全国から相談が寄せられ、増収増益が続いている。箱のプロとして、売る場面まで想定したハイエンドな紙箱の提案を行っている。
早川しょうゆみそ株式会社 取締役専務 早川 薫さん
1989年生まれ。地元宮崎県で創業139年目の老舗企業七代目予定。海外でも人気の「和食」の核となる発酵調味料を世界に広めるため留学等を経験し、宮崎発で欧州を中心に輸出事業に取り組んでいる。
独自開発したMISOパウダー「umami・so」が2022年英国で開催されたエリザベス女王即位70周年関連イベントのオフィシャルパートナーに選定された。
エヌエヌ生命が「次世代への支援」の一環として、家業後継者や若手経営者を対象に行っている取り組みです。NNグループの本社があるオランダの先進性や最先端の取り組みを実際に参加者に体感いただくことで、イノベーションにつながる学びの機会を提供します。
次回のツアー開催は9月を予定。下記より詳細をご確認ください。
お客さまの声をお聞かせください。
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